それは一体どういうものなのか

2011年04月21日 21時36分 - 野田純平

突然ですが、みなさん「ジハイドロジェン・モノオキサイド(Dihydrogen Monoxide)」という物質はご存知でしょうか?
これは水酸の一種で略称はDHMOです。
性質として、常温では液体の物質で、溶媒や冷却などにも多用されています。
聞き慣れない物質かもしれませんが、非常に身近なものであり日本でも自治体や企業が生産・供給していて大量に消費されています。
また、それと同時にいくつもの問題点が指摘されます。
  
・酸性雨の主成分である
・重篤なやけどの原因となりうる
・多くの材料の腐食を進行させ、さび付かせる
・電気事故の原因となる可能性がある
・末期がん患者の悪性腫瘍から検出される
・原子力発電所で用いられる
・各種の動物実験に用いられる
・異常な発汗や嘔吐の原因となる
・気体の状態では爆発を起こし、液体の状態でも一部の物質と反応して爆発させる
  
上記の性質を持つのがDHMOです
それにより、2004年の3月にカリフォルニア州のある町が、DHMOを含む製品の使用を禁止する法案を作ったという話もあります
みなさんはこれをどう思いましたか?
  
  
  
  
  
  
  
  
  
実はこれ、「水」のことなんですねー。
「ジハイドロジェン・モノオキサイド」という名称ですが…。

ジ = 英語で「2つ」を表す接頭語
ハイドロジェン = 水素を英語にしたもの
モノ = 英語で「1つ」を表す接頭語
オキサイド = 酸素を英語にしたもの

つまり一酸化二水素の事であり化学式にすると「H2O」、即ち「水」です。
前述した "問題点" も嘘ではなく、ただ悪いイメージが定着している単語と合わせて性質を述べているだけです。
1997年にアメリカで当時中学二年生だった人物が「人間はいかにだまされやすいか?」という名目で調査するために使用された方便ですが、やはり大半の大人が「DHMOは悪いものだ、規制するべきだ」と述べたといいます。
タネ明かしされれば「なーんだ」で済むかもしれませんが、知らないとDHMOがとても恐ろしい物に聞こえてきます。
前述したように悪いイメージが定着している単語と合わせて伝える事で意図的にイメージを操作するというのは、意外と簡単なものです。
なので、見聞きした事をそのままの状態にするのではなく、厳密にどういう事かを調べることが大事なのです。
これは先日のブログにも書かせていただいた「情報リテラシー」に関わる内容ですね。

そもそも、情報リテラシー自体が「言葉遊び」の要素が強かったりします。
先ほどのDHMOの "問題点" もそうですが、例えば「重篤なやけどの原因となりうる」という項目に関しても「熱湯である状態でかつそれを浴びればそうなる」という話であって、本来持っている性質にそれが備わっているわけではないです。
同様に「異常な発汗や嘔吐の原因となる」にしても、短期間で水分を過剰摂取する事で起こる低ナトリウム血症(いわゆる水中毒)を指しており、日常生活でそれになる心配は殆どありません。
ですが、嘘ではないだけであり、厳密に伝えられていないがために誤解を生じる恐れがある事は十分に予測できます。
故にそれを伝える伝えないというのが意図的に行える以上、言葉遊びの領域でしかないと私は思っています。
日本語(に限らず言語そのもの)とは難しいもので、その能力を鍛えるために慣れが必要なのは言うまでも無くそれ以上に時間がかかります。
なので鍛えるならば早ければ早いほど良く、日頃から意識していきたいものであると思います。
  
  
  
というわけで、「情報リテラシー(後編)」でした。
先日のものと併せて書いていたのですが、あまりに量が増えすぎたので急遽二つに分けました。
かく言う私も言語能力が足りないので反省しております、もう少し簡潔にまとめられれば良いのですが…。

そんなこんなで、最近自転車での走行距離が短くなり寂しさを隠し切れない野田でした。
次回のブログでまたお会い致しましょう、アディオス!

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